お悩み相談「田舎の実家や田畑を継ぐことになったら…」売却できる?活用できる?

公開日 2022年11月7日

先日、ご家族でショッピング中に、お立ち寄りいただいたAさん。「売りたいのは家だけではないのですが…。相談してもいいでしょうか?」とお声がけいただきました。

お話をお聞きすると「まだ先の話なのですが、いずれ実家が所有する田畑ごと、実家を継ぐことになりそうで…」とのこと。売却して処分をするか、どうにか活用するか、そもそも簡単に売れるものなのか…気になっていた点について、お話しさせていただきました。

田舎の実家、田畑を継ぐことになったら

まずは簡単に、相続のお話に触れたいと思います。相続人が田舎を離れて都市部で生活している場合は、田舎の家や田畑を相続しても、なかなか売却ができず、相続税や固定資産税、維持管理の負担だけが増えてしまうということもあるでしょう。

実家という「財産」。でもその実態は…

田舎・都市部は関係なく、どんな環境であっても家や田畑などの不動産は財産となり、「相続」が必要となります。

遺産の額が「相続税基礎控除額※」を超えれば相続税も発生します。

田舎の家や田畑も相続の手続きにおいては財産として扱われます。しかし、相続することによって、受け取った人にとってはマイナスの財産になることも多いのが実状です。

田舎の家や田畑を継ぐ…3つのケース

田舎の家や田畑を相続するには、いくつかの方法がありますので、まずは基礎知識として知っておくと安心です。

  • 家と田畑、預貯金を相続人全員で平等に分配する
  • 家と田畑を代表相続人が引き継ぎ、預貯金は相続人全員で平等に分ける
  • 家と田畑、預貯金も全てを代表相続人が引き継ぐ

この3つのケース、いずれかになることが大半です。一番大切なことは、相続人全員で話し合い、全員が納得した方法を選択することです。

預貯金については、家と田畑とは別に、平等に分けることができますが、家と田畑を相続する代表相続人の将来的な負担を配慮して割合を決めることも必要ですね。

田畑を売るための基礎知識

田畑を継いだけど、農家は継がない…。いずれは農地を売却したいというAさん。実家の田畑を売るための基礎知識を解説していきます。

「農地法」の制約を知っておこう

現在田畑は、農地法によって専業農家にしか売却できないと定められています。農地の売却は簡単ではないことを認識しておくことも大切です。

実際に農地を売却する場合には現在農地と使われているものをそのままそこで農業を続ける前提で、農地のまま売却する方法と、農地を農地ではなくして用途を変える「転用」をして売却する2つの方法があります。いずれにせよ農業委員会の許可が必要です。許可を取らずに売却するのは法律違反です。

農地を農地のまま売却する

自分がそこで農業をするのでなければ農地のまま売るのが一番です。近所の農家で規模を広げたいというところがあれば、そこに買ってもらうのが一番の得策でしょう。しかし後継者不足や経済的な先行き不安はどこも同じ…安定した農業経営地盤がある場所でないと、買い手が見つからないことも多いようです。

知り合いに買ってもらうのが不可能な場合、購入者を探すことになります。しかし「購入者になる」ための条件が多々あります。具体的には…

  • すでに農業を営んでいる
  • 必要な機器を所有している
  • 適正な人数が農業に従事している
  • 常時すべての土地を使用している
  • 現在の耕作面積が規定以上である

他にも、いくつもの条件があります。

農地を農地のまま売るのは買い手がかなり限られることもあって、実際のところ農地の価格はずっと右肩下がりの状況。収益のことを優先して考えるなら、「転用」を検討したほうがいいかもしれません。

農地を転用して売却する

国策として「農地を守る」というものがあります。そのため元々の農地を農地以外のことのために転用して売却するのには制約があり、中には転用したくてもできない土地もあります。

まず大前提として農地を転用する際には「更地にして、自由な用途で売却する」というのは許されません。農業委員会か都道府県知事の許可がなければ、勝手に農地であることをやめられないのです。しかも申請する時点で「何を建てて、何の目的でどういう風に使うのか」がはっきりと決まっていて、その際の資金も十分にあることの証明も必要です。

もし購入される方が過去に農地法違反などの問題があれば、転用は認められず、ただ転用の許可をもらうために申請したとみなされれば、申請時点で受付拒否。確実な事業の実現計画が必要になるのです。

まずは自分の所有する土地について知る

農地には「農地法」によってさまざまな制限が設けられています。農地として売却するにも、転用するにしても条件が変わってくるため、まずは自分の土地をよく知っておくことも大切です。

立地条件は?

農地は立地によって細かい区分があるため、まずはその調査を。第一歩は市役所の農政課などに問い合わせてみましょう。

農用地区域内農地

市町村が定める農業振興地域整備計画において、農用地区域とされた農地は通称「青地」と呼ばれ、もっとも制限が厳しい農地です。転用するのは、相当ハードルが高いです。

甲種農地

市街化調整区域内にある農地の中でも、特に良好な営農条件を備えている農地。転用は原則不許可です。

第1種農地

生産性が高く営農条件が良好で、約10ヘクタール以上の規模の農地、土地改良事業などの対象になった農地です。こちらも転用は原則不許可ですが、甲種農地に比べれば「公共性が高い事業に転用する」など条件付きで転用が認められるケースも。

第2種農地

鉄道の駅が500 メートル以内、今後は市街地化されて発展することが見込まれる土地や生産性が低いとみなされた土地。土地周辺の他の農地が代用できない場合は、転用が許可されます。

第3種農地

鉄道の駅が300メートル以内、市街地区内で既に施設が整備されているなど、都市化が著しいと見られている地域にある土地で、原則転用が許可されます。

転用申請は時間を要するため余裕をもって

既に周辺は都市化しているが、その一角だけ細々と農業を営んでいるような場合なら、転用して売却することが容易だということです。一般的には転用許可を申請してから、書類のチェック、現地確認も行われるため、1カ月~3カ月程度はかかると考え、早めに動くことをおすすめします。

早めの準備が大切。家族会議の前に「いえうる窓口」で相談を

このように田舎の家や田畑の継いで、売却したくても一筋縄ではいかないことも。相続が発生する前、できれば早い段階でしっかりと家族で話し合っておくと安心です。

今回ご相談いただいたAさんは、ご両親もまだお若いため「しばらく先…」とのことでしたが、一通りの説明を聞いて「いざという時に焦らないためにも早い段階で準備をしよう」と思ったようです。

農地に関しては、役所や専門家へ相談することがおすすめです。しかし、「こんなケースは相談していいだろうか」と悩むことでもまずは「いえうる窓口」で気軽にご相談ください!

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