【いえうる豆知識】「相続人申告登記」とは?

公開日 2024年7月22日

2024年4月1日より法改正により、相続登記が義務化となったのはご存じでしたか?

こちらのコラムも併せてご覧ください→【いえうるNEWS】相続登記の申請が義務化に!

義務が発生するのは新たに相続する不動産だけでなく、それ以前に発生した相続も対象になります。そして期限までに相続登記を終えなければ過料などの罰則を受けるリスクがあるので注意が必要です。

今回は、制裁リスクを回避できるように新しく創設された制度「相続人申告登記」について解説いたします。

相続人申告登記とは?

不動産登記法の改正により、相続登記の申請の義務化が2024年4月1日から始まりましたが、相続人申告登記制度も同日4月1日からスタートしています。

相続登記と相続人申告登記の違いは?

混在してしまう2つの登記の違いを確認していきましょう。

遺産である不動産を相続した相続人が、不動産の登記名義人を被相続人(亡くなった方)の名義から相続人名義に変更することを「相続登記」といいます。

一方で「相続人申告登記」は、当該不動産について自らが相続人であることを「公示すること」をいいます。相続人であることを登記し、「将来不動産の所有者になる可能性がある人を公示する制度」。申出をした相続人の住所や氏名などが登記されるだけで、相続分などの権利についての登記は行われません。

自らが権利者であることを公示するのが「相続登記」ですが、「相続人申告登記」は遺産分割協議が未了など、期限内に相続登記ができない場合に利用される手段です。よって、遺産分割協議がまとまり次第、あらためて相続登記を行う必要があるので注意しましょう。

相続人申告登記は義務?

相続人申告登記自体は義務ではなく、簡易な登記手続きによって「相続登記の義務」を履行するものです。
相続人申告登記しても、遺産分割が成立して正式な相続人が決まった場合には遺産分割協議が成立した日から3年以内には相続登記をしなければなりません(改正不動産登記法 第76条より)。

相続人申告登記新設の背景

「所有者不明土地」が増加している社会問題に歯止めをかけるために、今まで任意だった相続登記が義務化して罰則を設けることとなりましたが、不動産は相続財産の中でも分けにくい財産であります。
相続登記の手続きには専門的な知識も必要で、遺産分割協議から相続登記の手続きまで完了するには相応の時間がかかります。義務化となった3年という期限に間に合わないケースも多発されると考えられるため、相続登記の義務を果たしたとみなす「相続人申告登記」も新設されました。

相続人申告登記の必要書類は?

相続人申告登記には以下のような書類が必要となります。(詳しくは、「いえうる窓口」でもご相談可能です)

  • 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本(不動産の名義人が死亡したことを明らかにするため)
  • 申出をする相続人の戸籍謄本(申出をする人が相続人であることを明らかにするため)
  • 申出をする相続人の住民票(申出人の住所が登記されるため)

相続人申告登記手続きの流れは?

相続人申告登記の流れを確認していきましょう。

①相続人調査

被相続人が死亡した場合、遺産分割協議に備えて、誰が相続人になるのかを明らかにしていく調査をします。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を取り寄せて、そこから相続人を確定します。相続人調査で取得した戸籍謄本などは、相続登記や相続人申告登記の必要書類として利用可能です。

②相続財産調査

相続人調査と併せて被相続人がどのような財産を有していたか明らかにします。被相続人が不動産を所有している場合は、法務局で登記事項証明書を取得して正確な情報を確認します。

③遺産分割協議

上記①②の調査が完了後、本来は、相続人による遺産分割協議を行います。
相続人による遺産分割協議がまとまった場合には、遺産分割協議書を作成し「相続登記」を行いますが、相続人全員の合意が必要ですので、例えば相続人のうち一人でも欠いてしまうと遺産分割協議は成立しなくなり、まとまらないケースもあります。

④遺産分割協議がまとまらない場合に相続人申告登記を利用

このように相続登記申請の期限内に遺産分割協議がまとまらない場合に「相続人申告登記」を行います。期限を過ぎた際のペナルティーを避けることができるので安心です。

相続人申告登記のメリット・デメリット

相続人が複数人いる場合でも、相続人が単独で申請することができます。相続人の調査・確定、遺産分割協議といった相続の手続きを進めている途中でも、簡易的な手続きで期限内に相続登記の申請義務を一応果たすことができるのがメリットです。登記を申請するための費用はかからず必要書類をそろえて、法務局の窓口で申請するだけなので比較的難しい手続きではありません。

デメリットは、一時的な回避に過ぎず、相続登記を改めて行う必要があることです。登記簿に住所氏名が載るため、不動産業者などから求めていない営業をかけられる可能性が生じます。

遺産相続のトラブルなどがない限りは、手間も一度で済むため、3年以内に相続登記するほうが、安心かもしれませんね。

まとめ

相続人申告登記は「相続登記の申請義務」を期限内に「一時的に」履行するための制度です。どうしても遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人の多い場合に相続人申告登記を行うとよいです。しかし、あくまで簡易的な登記で所有権を公示するものではないので注意しましょう。

いえうる窓口では不動産に関する様々な相談が可能です。「相続登記」で困っている場合もぜひお気軽に店舗へお立ち寄りくださいね。

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