先日、60代前半のYさん夫妻から、こんなご相談を受けました。

「子供達が独立して、夫婦2人で生活するには家が広すぎて、住み替えを考えているのですが…」。

３兄弟がのびのび暮らした住まいは、現在は使用していない部屋ばかり。お掃除も大変で退職前に住み替えを検討しているようです。しかし悩みの種は多岐にわたりました。購入か、賃貸か、そしてマンションか戸建てか…。さて、ベストな選択はどこにあるのでしょうか。

シニア世代の住み替えは、それぞれにメリットとデメリットがあります。その双方を抑えながら、ポイントや注意点を一緒に考えていきましょう。今回は「購入vs賃貸」と、「マンション編」です。

シニアの住み替えは買う？借りる？

まずは、現在の住まいを売って「賃貸」に住む…という選択をした場合、どんなメリット、デメリットがあるのかチェックしてみましょう。

賃貸のメリット：「資金が抑えられる」

賃貸は「初期費用が抑えられる」ことが一番の魅力。買い替えをする場合は、資金不足なら住宅ローンを組みますが、退職後や退職が近いシルバー世代にとって、住宅ローンは大きな負担になります。賃貸なら家の売却資金を老後の貯蓄にまわせるので安心ですね。

賃貸のデメリット：「審査に通りにくいことも」

高齢者が物件を借りる際、年収が低い場合や健康面がネックになり、入居が断られる可能性もあります。また、無事に借りれたとしても、万が一、オーナーさんが経営を辞めて物件に住めなくなった場合は再度転居しなくてはいけません。年齢があがると審査が通りにくくなるため、不安がいつまでもつきまとってしまいます。

安心感があるのは「自己所有」

資金面でのメリットは大きいですが、ずっと住み続けられるという点では、シニア世代の終の棲家としては賃貸よりも「自己所有」の住まいが安心です。

シニアの住み替え：マンションを買うメリット

シニア世代がマンションに住替えることは、「安心感」という面でメリットが多いので、いくつかご紹介いたします。

セキュリティー面の安心感

マンションは建物全体でセキュリティ管理を行っているので防犯面などでの安心感があります。何かあれば、管理人さんや管理組合に相談もできるので心強いですね。

利便性の高い物件が多い

マンションは駅徒歩圏内や商業施設が近いなど、利便性の高い立地の物件も多く、お買物や通院にも便利な物件が多いので、ライフスタイルに合わせて選択の幅も広がります。運転免許証を返上して公共交通機関のみの生活になった場合も安心です。

バリアフリーで快適！

マンションにエレベーターがあれば、移動も楽ですね。エントランスの階段などに車いす用のスロープなどが設置されているマンションも多いようです。また居室内も1フロアで生活できるマンションは一戸建ての平屋と同じような生活ができます。2階建てに住んでいても、老後は2階を使用しない…という方も多いので、マンション暮らしは大変快適です。

建物のメンテナンスも安心

建物に不具合が生じた際に、戸建てなら自分で修繕の依頼先や資金計画を考える必要がありますが、マンションの場合は、管理組合が適切に対応してくれるので安心です。

物件によっては売却しやすい

将来的な相続の問題や、介護施設に入る場合は今住んでいる家を売却することになります。その際も、駅近の利便性の高いマンションであれば、売却しやすいので安心です。利便性が高いほど高値で売れる可能性もあるので、子供に資産を残すこともできますね。

シニアの住み替え：マンションを買うデメリット

マンションに住替えることによるデメリットもいくつか考えられますので、チェックしていきましょう。

管理費や修繕積立金が負担に

共用部を維持、管理するための管理費や、将来の修繕に備えて修繕積立金を支払うことになります。加えて、車を所有している場合は駐車場使用料を、マンションによっては、トランクルームや専用庭、ルーフバルコニーの使用料などがプラスになる場合もあります。

上階や隣家の生活音が響くことも

立地や間取りが選べても、住んでみないとわからないのが「ご近所にどんな人が住んでいるか」です。戸建てより、どうしても気になるのが隣家や上階の方の生活音。お子さんの声や足音、ピアノや楽器の音が響くなど、聞きなれない音が騒音に感じることもあります。

逆に、楽器などが趣味の方にとっては、隣家などに気を使って生活をしなくてはならないのでストレスになる可能性もあります。

建替えが決まると負担大！

老朽化や予期せぬ地震被害による破損が生じたことで、住んでいる間にマンションを建て替えることになる場合もあります。

シニア世代になると、建て替え資金を捻出できず、退去せざるを得ないという想定外の事態も念頭においておきましょう。

Yさん夫婦の選択は…？

長年戸建てに住んでいたYさんも、セキュリティの面などに惹かれ、マンションへの住み替えは、意外とメリットが多いと感じたようです。「ただ息子が家族で帰省した時を考えたら…」と戸建てへの住み替えも捨てきれないようです。

次回「戸建て編」では戸建てに買い替えることのメリット・デメリットをご紹介します。併せてチェックしてみましょう。

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