相続土地国庫帰属制度とは? 特徴や注意点を解説

公開日 2025年10月6日

不要な土地を国に引き取ってもらうことのできる制度「相続土地国庫帰属制度」をご存じですか? 「相続したけれど、使用する予定がない土地があって困っている」という方は、一度検討してみるとよいかもしれません。

今回は「相続土地国庫帰属制度」について、特徴や注意点を解説します。

相続土地国庫帰属制度とは

相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈によって取得した土地の所有権を国に返すことができる制度です。

土地を相続しても「遠くに住んでいるため住む予定がない」「管理の負担が大きい」などの理由から、土地を手放したいと考える方が増えています。同時に、相続しても管理せず放置される土地や、相続登記をせずに所有者が分からなくなっている土地も増えているため、所有者がいらない土地を国に返すことができる制度として相続土地国庫帰属制度が2023年4月27日からスタートしました。

この制度は全ての土地でも利用できるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。対象となるのはその土地の相続人、土地を複数の相続人で共有している場合は、全員の承認が必要となります。

相続土地国庫帰属制度のメリット

相続土地国庫帰属制度の主なメリットは、「土地の固定資産税を払う必要がなくなる」ことです。

使っていない土地・いらない土地でも所有している限りは固定資産税を支払わなければなりません。国に返して自分のものでなくなれば、固定資産税の支払いがなくなります。

加えて、使っていない土地・いらない土地でも所有権を持っている人には管理する責任も発生します。土地を放置すると、ゴミの不法投棄や、草木が生い茂り野生動物が住み着いてしまうなどしてご近所さんとトラブルになってしまう可能性もあります。土地を国に返せば管理する必要がなくなるので安心です。

相続土地国庫帰属制度のデメリット

相続土地国庫帰属制度を利用するには審査を受ける必要があり、費用や手間がかかるというデメリットがあります。

まず、相続土地国庫帰属制度を利用するには、「負担金」を支払わなければなりません。利用するための審査手数料として1筆1万4,000円かかり、審査を通ったら、10年分の管理費用の相当額を支払う必要があります。一般的に宅地や田、畑、原野などであれば面積にかかわらず20万円で、森林は面積に応じて算出されます。さらに、申請手続きを弁護士や司法書士に依頼すると、依頼料も必要となります。

弁護士や司法書士に依頼し、審査料も払って申請しても一定の要件を満たしていなければ却下や不承認になりますので、申請するかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。

また、相続土地国庫帰属制度の申請には時間がかかります。申請から結果が出るまで、一般的に8ヶ月程度かかるとされています。申請する土地によってはさらに長引く可能性もありますので、注意が必要です。

対象外となる土地とは?

相続土地国庫帰属制度を利用するには一定の要件を満たす必要があり、どんな土地でも国に返すことができるわけではありません。

申請できないのは

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地(墓地や用水路など)
  • 特定有害物質により土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地・所有権の存否や帰属、範囲について争いがある土地

です。土地を管理する際に障害となるものがある土地や、土地の権利に関して第三者の関わりがある場合は、申請ができません。

また、申請しても却下されてしまうのが

  • 一定の勾配・高さの崖があって、かつ、管理に過分な費用・労力がかかる
  • 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  • 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
  • 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  • その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

です。申請できる要件を満たしていたとしても、維持管理に過度な費用や労力がかかる土地は、相続土地国庫帰属制度を利用できません。

不要な土地を処分する方法

使っていない土地・いらない土地で、相続土地国庫帰属制度も対象外で利用できない場合はどうしたらよいのでしょうか。この場合は、不要な土地を処分する方法して「寄付」や「売却」を検討することをオススメします。

土地を国に返せなかった場合は、自治体や法人に寄付するのも1つの方法です。ただし、活用できる可能性の低い土地に関しては、引き取って貰うのが難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

売却する場合は、不動産会社に仲介を依頼します。売りにくい土地でも、様々な土地売却のノウハウがある会社なら売却できる可能性は十分にあります。土地売却の実績が豊富な会社を複数選び、依頼してみるとよいでしょう。

まとめ

相続土地国庫帰属制度は不要な土地を手放すことができる制度ですが、費用がかかる、利用できない土地もあるなどのデメリットもありますので、利用するかどうかは慎重に検討する必要があります。相続土地国庫帰属制度を利用する場合と売却・寄付する場合、それぞれのメリットデメリットなど、必要となる費用や時間、労力など詳細を比較することをオススメします。

「いえうる窓口」では、不要になった土地に関するご相談を受け付けています。「相続土地国庫帰属制度の利用はできるのか?」「売却はできるのか?」など、土地に関するお悩みはお気軽にご相談下さい。経験豊富なアドバイザーがお客様に最適な方法をご提案いたします。

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