「将来的に住み替えを考えているのですが、現在住んでいる家が『私道』のある土地で…。売却できますか？」

先日、お買物がてら立ち寄っていただいた50代後半のTさんご夫妻から、こんなご相談を受けました。退職後は、マンションに住み替えしようと考える中で、「私道負担のある土地は売却が難しい」と知人から聞いて心配になったようです。

同じような相談は過去にもあり、決して他人ごとではない方もいらっしゃるはずです。今回は、私道に面した土地を売却する際の注意点やコツをご紹介します。

私道とは？

そもそも、私道とはどんな道なのでしょうか。

国や都道府県、市町村など自治体などが所有・管理する道は「公道」と呼ばれるのに対し、「私道」とは、個人（私人）や企業などが所有・管理している道のことを指します。

私道と公道の違いは？

私道と公道の違いを表で確認してみましょう。

	私道	公道
管理者	個人や企業	国・都道府県・市区町村
維持・修繕の費用負担	私道を管理している一般人 （負担金あり）	国・都道府県・市区町村
通行できる人	制限あり ※道路の管理者（所有者）以外の通行・利用が禁止	制限なし ※誰でも通行できる

私道の種類

私道には種類があるので、ご自身の私道が何にあたるか、チェックすることも必要です

• 共同所有型私道
  その私道に面している土地を所有する、すべての人と共同で権利を持つ。所有者は平等に権利があるため、私道を通行するときに誰かの許可を得る必要はない。

• 相互持合型私道
  一見ひとつの道路だが、私道を分割してそれぞれが所有権を持ち、それぞれ単独で管理している状態。自分の土地に面している私道が権利がないこともあり、私道を通行する際は管理者の許可が必要。

私道のある土地を売る際の３つのポイント

検討者にとって、「私道のある土地」は不安要素のひとつになりかねません。少しでもスムーズに売却するために３つのことを実施しましょう。

私道に付随する権利・費用を明示する

私道に関する権利を整理して、買主に伝えられるようにしましょう。

• 通行できる権利はあるか
• 掘削工事をする承諾は得ているか
• 通行料、掘削承諾料を支払っている場合はその費用や契約内容
• 共同所有型であればその割合
• 相互持合型なら、どう分割されているか
• 私道の管理にかかる固定資産税

等々、権利に関する内容を漏れなく明示することが不安を払拭する第一歩です。

通行許可・掘削承諾を書面で得る

敷地に接している私道を所有、共有していない場合は、通行する権利（通行地役権）や、工事の際の掘削承諾を得ることで、買主の方の不安解消にもつながります。

認識のズレが生じる可能性もあるので、口頭のみの契約ではなく必ず「掘削承諾書」といった書面に残すことが大切です。共同所有型の場合は、所有者全員の承諾を得ることが必要です。

接道義務の確認

敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接している必要がある。それが「接道義務」です。
接道義務を満たしていない敷地には建物を建てることができません。建築済みの建物はそのまま使用できますが、建て替えはできないのが難点。 「再建築不可の敷地」となれば、購入後の自由度が低いため売れにくくなるので注意しましょう。

接道義務を満たしていない場合は、下記のような対策で建替え可能になります。

• 家を後退（セットバック）させる
• 隣地を購入する
• 定めに足りない分を補って接道義務を満たす

私道に面した土地を売却するコツ

買い手のつきにくい私道のある土地でも、対策を講じることでスムーズな売却につながります。

私道とセットで売る

私道の持分がない場合は、私道を購入して物件とセットで売却する方法もあります。私道を所有すれば、通行の許可などを得る必要や、手間がなくなるので、買い手もつきやすくなる可能性が高まります。

隣人に売却する

隣地所有者であれば、近隣の土地の状況もある程度把握しているため、第三者への売却よりもスムーズに進む期待が持てます。

隣地を買うことで敷地が広がり、「接道義務を満たしていない」などの敷地の抱える問題が解決できる場合もありますので相談をしてみるもの一案です。もちろん、急に土地を買って欲しい…とは言えません。普段から交流を図り、お互いに情報交換をして信頼関係を築いておきましょう。

不動産会社に売却する

「なるべく早く売却をしたい」と考えている場合は、直接売却する「買取」もおすすめです。
不動産売却は不動産会社に依頼して買い手を探してもらう「仲介」が一般的で、買取となれば仲介の売却価格よりも買取金額が安くなる傾向がありますが、仲介よりもスムーズな売却が可能です。

買取後に不動産会社が売れるよう整えてから再販するため、売主が通行の権利を得たり、私道を購入したりしなくても、現状そのままで売却できる点もメリットになります。

買取の取り扱いがある不動産会社を選ぶ必要もあります。ぜひ「いえうる窓口」でもお気軽にご相談ください。

「買い手の不安解消」を一番に考えよう

私道に面した土地は、例えば「複数人から使用許可を得る際にトラブルにならないか…」など、買い手にとって不安はつきもの。そのため、一般的には売りにくい土地といえるため、買い手の立場になって「これなら安心」という対策をしっかりと施すことが売却成功のカギになります。

あらゆるケースも「いえうる窓口」で相談を

今回、ご相談いただいたTさんはは、難しいケースとはいえ、売却できないわけでないとわかり安心したようです。「今すぐ売却をしたいわけではないので、まずは我が家の私道に関する権利から整理してみます」とのことで、今後も継続して相談していくことになりました。

「いえうる窓口」では、経験豊富な売却のプロフェッショナルが揃っています。「レアなケースだけど対応してくれるだろうか…」と悩む前に、まずは気軽にご相談ください。

宮城県・仙台市での不動産売却のご相談は「いえうる窓口」へ相談を

詳しく相談したい方は、ぜひ「いえうる窓口」へ。 「いえうる窓口」は、宮城県・仙台市など宮城県内全域で売却を検討している方向けの無料相談窓口です。宮城県内イオンモール２店舗（新利府南館店、富谷店）でご相談頂けます。お気軽にお問合せください。